ゆううつ部部長のOB訪問 東藤泰宏 イラスト:ヨシムラマリ

第8回後編 42歳女性エンジニア

職場環境、生活環境の変化から
心身のバランスを崩してしまった赤崎さん。
二度目の休職で、徐々に症状との付き合い方を
身につけていったそうです。
職場での振る舞いや、日ごろの考え方など、
ヒントが詰まった後編です。

赤崎さん
赤崎さん
・年齢:42歳
・職業:エンジニア
・性格:サバサバはっきり
・既婚
・うつ歴:8年ちょっと

※本連載ではプライバシーを守るため、名前はすべて仮名とさせていただいております。

病院へはメモを、薬は小分けに

赤崎さん:
どうしても、記憶力が落ちてしまいますよね。
東藤:
それはたしかにありますね。
赤崎さん:
いまは色々なスマートフォンアプリとかありますけど、
当時はなかったのでひたすらメモをとりました。
「次に病院に行ったらこれを聞く」という事柄を、
あらかじめ書いておくんです。
「こんな症状だった」
「今日は元気だったけど何をしたらダメだった」
「でも何は出来た」
ということを、手帳に、何月何日何曜日まで書いて持って行きました。
とはいえ、全部は話せないんですけど(笑)。
東藤:
なぜか診察室では言えないんですよね(苦笑)。
赤崎さん:
診察が終わって薬局に行った時に、
今日はこれが言えなかった、とか思うんです(笑)。
東藤:
薬局は1人反省会の場ですよ……。
薬を飲んだか忘れちゃった、みたいなこともありましたか?
赤崎さん:
あります。
だから夜寝る前に、朝昼晩と薬を出して並べておきました。
東藤:
なるほど。予めちゃんと分けて……。
赤崎さん:
だって、飲んだか飲んでないかすら忘れちゃうんですもん。

 薬を飲んだか覚えていない、というのは、うつじゃない人にはなかなかわかってもらない、症状のひとつかもしれません。ぼくも今日、朝のんだかどうか自信がありません……。
 赤崎さんのように、自分で工夫できればいいですが、それすら難しい状態の人もいると思いますので、身近に重度のうつ病の方がいる方は、小分けにしておいてあげるといいかもしれません。

うつ病とブログ

赤崎さん:
その当時の自分のブログを見ても、
「低空飛行低空飛行」ばっかり書いていて。
「一歩も外出られなかった」とか。
東藤:
今思ったんですけど、活字を読むよりも、
自分でキーボードを打つほうが楽じゃないですか?
赤崎さん:
断然楽ですね。
東藤:
不思議ですよね。
書いたあとで、編集とか書き直したりとかするために読むのは平気で……。
赤崎さん:
うーん、自分の言葉だからじゃないんですかね。
他者の考えや意思、意図を理解する必要がないじゃないですか。
東藤:
うつの症状が出ていると、コミュニケーション自体が苦手になるので、
外部の他者っていう存在の意識を考えるのが
煩雑に感じてしまうんですね。

それで、一番重い時期は過ぎたんですね。
その後はどのように回復に向かっていくのでしょうか?
赤崎さん:
休み始めぐらいのコンディションまでにはやっと戻って。
でもやっぱり寒くなったり、天気が悪いとダメ、と、
気候による体調の波が大きかったです。
上へは小さく下へは大きく。
落ちるより上る方がゆっくりなんですよ。

2度目の復職へ

赤崎さん:
どんって落ちて、ゆるゆるゆるゆる上がっていって、
またどんって落ちて。
だんだんその幅が狭くなっていく感じですかね。
1年3ヶ月かけてやっとそこに持っていけました。
それ以前にも、「もう戻れるんじゃない?」と復職しかけたことが
あったんです。上司と会社の外で会って話をしたりもしました。
けどやっぱり一回失敗している、というのがあって、
もう一回失敗したらどうしようというのが不安でした。
東藤:
二回目の復職は、慎重になる方が多いようですね。
赤崎さん:
それで、もう少しゆっくりしましょう、と。
夏の方が元気になるので、春先から平日は
買い物でも散歩でもいいから毎日出かけるようにする。
できるだけ朝、午前中に動くようにする。
それから、人とのコミュニケーションも取れなきゃいけない
ということで、友達と会ったりということも
できるだけするようにしました。
そういう仲間もいたので付き合ってもらえましたし。
休んでいるときにしかできないようなことをしよう
っていう気持ちもあって。
主婦をしている人の家に遊びに行ったり、そういうリハビリもして。
そうした体調面の準備もでき、さらに暖かくなってきて、
朝が明るいっていうのもあって、
2回目の復職は1回目よりずっとうまく行きました。
東藤:
朝明るいのは大事ですよね。
とくに赤崎さんは気候の影響が大きいですし。
赤崎さん:
はい。無事復職ができました。
そのときは主治医の提案で、
「ソフトランディングで行きましょう」ということになりました。
東藤:
ゆっくり、穏やかに、元の調子に戻していくということですね。
赤崎さん:
はい。残業は禁止。
フレックスや半休を使いながらうまくコントロールして、
一週間、ひと月、三ヶ月、少しずつ勤務時間を増やしていきました。
フレックスを使って、通勤ラッシュになる前に新宿まで移動して、
新宿が混む前の時間帯に帰れるとすごく楽で。
東藤:
復帰したての時は、以前困っていた集中力はどうでしたか?
赤崎さん:
復帰した当初は完全に戻ったとは言えないレベルでした。
でも、だいぶ良くはなっていたので、
うつになる前の状態が100だとしたら、60ぐらいのパフォーマンスは
出ていたと思います。
自分では納得できていなかったんですが、
主治医は「それが普通だ」と言っていました。
東藤:
復職した時、最初の1~2か月で、
どういうことがしんどいなって思いましたか?
赤崎さん:
まずきちんと毎日、続けて通うこと。
通勤が片道一時間強だったので、続けて通うことがつらかったです。
東藤:
会社に行くまでが大変?
赤崎さん:
駅に行くまでですね。
起きて、身支度して、駅にさえ行ってしまえば……
電車に乗って、座れるようにいくので、ちょっと早めに出て。
東藤:
その分、朝早く出るのは平気だったんですね。
赤崎さん:
少し早く出てでも、一時間座れるのは大きいです。
座れないと、朝の通勤だけで一日分の体力を使い切るので……。
東藤:
なるほど。1回目の復職との違いはなにかありましたか。
赤崎さん:
前回の復職と違って、「今日は何ができそうだ」とか、
「今日はちょっとやめといたほうがいい」という
コントロールができるようになっていました。
当時関わっていたのは割と大きいプロジェクトで、
自分の遅れが周りに大きな影響を与えることが少なかったのが
ありがたかったですね。
あと、本当に調子が悪い時は、周りの人にも、
調子が悪いって伝えるようにしました。
東藤:
長めのお休みでしたが、同僚の方々はどんな反応でしたか?
赤崎さん:
その職場には10年以上いたこともあって、
元気な時の私を知っている人がたくさんいて、
本当に病気なんだっていうことをわかってもらえて。
そこまで温かくはないんですが、厳しくもなかったです。
ま、夫が同じ職場にいたっていうのもありますね。
二回目に戻ってきたときはいなかったんですよ。
ちょうどそのふた月ぐらい前に職場を変わったので。
でも、それまでずっと自分の様子を親しい人には
伝え続けていてくれたので、戻りやすかったです。
東藤:
そこからどうやって順応されていかれたんでしょうか?
周囲からは100パーセントという誤解も相変わらずあるだろうし、
本当はもっとやりたいけどまだ60パーセントだっていうところから、
少しずつ変わっていったわけですよね。
赤崎さん:
与えてもらう業務とかや、やりたいと思う仕事を相談する機会が、
半年に一回ある会社だったんです。
そこで、評価もされるし、自分でアピールも出来る。
そこで必ず「今どうなの?」と聞かれて、
病院にはまだ通っていて薬も飲んでいますと話しながら、
少しずつ役割を変えてもらって、出来ることからやらせてもらって、
仕事の範囲を少しずつ広げていきました。
復職直後は、発症前にあった昇格が保留になっていたんです。
なので、本来の「主任」という立場に戻ることが目標だったんですね。
そこまで、3年ぐらいかかりました。
東藤:
ゴールに向けて、徐々に徐々に。で、仕事の内容も……
赤崎さん:
だんだん役割が増えていって。
幸いなことに営業職でもないし、
社内に閉じている仕事を出来る部署だったんです。
その気になればいくらでも外の人と交わることもできたし、
デスクワークで8時間座っていることもできたんですよ。
会議とかはもちろんありますけど。
プロジェクトの中でもいろんな役割があって、
仕事を選べる環境でした。
異動などで人が抜けていくところに、その穴埋め、
代わりが必要になったり。
そこでうまく内向きの仕事を選んでフィットしていきました。
東藤:
人がいなくなると自分の新しい仕事を持ってくるチャンスですもんね。
赤崎さん:
そうですね。前と全く同じパフォーマンスではないけど、
会社から求められているパフォーマンスも出せるようになっていきました。
東藤:
いい感じですね。
以前は仲間の目線が気になっていましたよね。
それは解消されていったんですか?
赤崎さん:
完全にとはいかないですね。
自分自身、100%元通りになっているっていう自覚はありませんから。
まだなにか余力があって、もっとできるのにって思って、
引け目に感じちゃうんです。
でも業務面談で、客観的によい評価をもらえることが
自信につながりました。

うつ病と体重の変化&ダイエット

赤崎さん:
そうそう。薬のせいで、半年で10キロ太ったんですよ。
東藤:
太る人多いですよね。痩せる方もいますけど。
赤崎さん:
両極端ですよね。
うつ病仲間の3人のうち一人は激やせしています。拒食に近い状態。
私は、女性ホルモンのバランスが崩れる薬を飲んでいて、
しばらく大丈夫だったのですが、3年間飲んでいたら、
半年でわっと太ってしまいまして。
でも主治医に聞いたら、「この薬やめても痩せないから」って言われて。
「先生、先に言ってもらわないと、それ詐欺でしょ」って言ったら、
「自分で努力してね」って(笑)。
東藤:
ひどい(笑)。
ぼくも薬を飲んで、半年で10キロ太ってしまいました。
ぼくがうつ病になったのは3年ぐらい前で、
最初から体重が増えやすい薬が出ていたんです。
それが、ちょうど1か月前に体重計に乗ったら、10キロ痩せていました。
赤崎さん:
すごい……!
どうやって痩せました?
東藤:
赤崎さんが身を乗り出した(笑)。
赤崎さん:
それが重要じゃないですか(笑)。
みんな食いつきますよ!
東藤:
その薬は結構前に処方が終わってたんですけど、
体重はそのまま来ていて。
まずは食事の量を見直しました。
オカズはちゃんと食べてご飯は少なめとか。
それで5キロくらい痩せました。
あと、ここ1~2ヶ月ジムに通いはじめてから残り5キロ減です。
赤崎さん:
やっぱり体動かさないとダメですね。
東藤:
はい、日々30分ぐらい走ったり歩いたりとか、筋トレとか。
で、いい感じになりました。今は逆にたくさん食べています。
赤崎さん:
それはよかったです。
東藤:
自分で「懐かしいなあ、この体型」って思います(笑)。
赤崎さん:
そうですよね。
復帰したとき、前の服が全部着られなかったので。
幸い、職場はカジュアルな格好でも大丈夫だったので、
夏はポロシャツ着て行ってましたけど。
それにしても着るものがなくて、ほとんど買い直しました。

達成感がたいせつ

東藤:
赤崎さんはうつ病で2度休職して、復職されていますが、
回復にはどんなことがいいと感じますか?
赤崎さん:
なにより、達成感を感じるというのがいいですよ。
「今日なにかが出来た」っていうだけでも違うと思います。
ポイントカードのポイントを貯めていくぐらいの、
ちっちゃい達成感でいいと思います。
その達成感の積み重ねっていうのが、
立て直しにすごく効果的だと思うんです。
東藤:
それはもちろん自分で意識的にいいところを探して、
記録するぞっていう。
赤崎さん:
はい。
「今日ご飯を食べました」
「今日薬を飲みました」
というくらいの丸でいいんです。
その、丸がずっとつながっていくっていうのに安心するし、
自信が持てると思います。

 ぼくが起ち上げたU2plusというサイトで採用している、認知行動療法の専門用語で「マスタリー&プレジャー法」というものに似ています。「できたこと、たのしめたことを記録する」というサービスをアレンジして採用しています。
 昔、どんなサイトにするか、監修の先生に相談していたとき、質問したことがあります。「本当にうつがひどくて、何にもなかったときは、食事もできませんでした、トイレもいけませんでしたっていう時は、何を書けばいいですか?」って。先生は「よく寝れた」でいいよ、と。
 悪いことは書かず、小さな「できた!」「うれしい!」を積み重ねることで、少しずつ自分を肯定できるようになっていきます。なんだか宣伝みたいになってしまいましたが、よかったらぜひ、覗いてみてください。→http://u2plus.jp/

職場での人間関係

東藤:
職場の人の理解があったというのはすごく大きい気がします。
赤崎さん:
はい。同僚とは10年以上の付き合いでしたし、夫もいてくれたし。
そう言う意味では環境が変わっていないっていうのがプラスでした。
ただ、同僚は頭ではわかっていても、
私にどう対応していいかわからない、という面もあったと思います。
不器用な人はやっぱりはれものを扱うみたいに、
遠くから見ているだけでした。それが一番きつかったです。
なにか言ってくれれば、
「今はダメです」とか
「今は大丈夫です」とか言えるのに。
東藤:
そういう人にはどう接してもらうのがいいでしょうか。
どう扱っていいか自体も聞いてくれとか。
赤崎さん:
そうですね。そういう信頼関係があるんだったら全部話して、
いいときはいい、悪いときは悪いっていうのを
わかってもらいたいですね。
友人との笑い話なんですけど、
「旗を立てたいね」って話してたんです。
今日は青、今日は黄、今日は赤、みたいな。
青ならウェルカムで、赤はダメ、みたいな感じで。
「今はちょっと、近寄らないでください」とか、
「集中しているのでこの一時間だけはシャットダウンさせてください」とか。
そういうのがひと目でわかれば、お互いやりやすいねって。
東藤:
それは立てたいですね。ほしいなぁ。
赤崎さん:
じゃないと、傍から見ててもわからないんですよ。
東藤:
実際わからないですよね。一日の中でも波があるし。
赤崎さん:
朝は割と、よしやるぞっていう気になってるんですけど、
やっぱり集中力があまり続かなくて、
一時間でがっくりきちゃったりとか。
本当に些細なことがきっかけで
ガクンと落ちちゃったりとかもしましたね。

職場復帰か、異動か

赤崎さん:
異動になってまったく知らないところでリセットして
やり直したほうがいい人もいれば、同じ職場に、同じ人の中で、
話をできる人の中でやったほうがいいって人もいますね。
メリットもデメリットもあると思うんですよね。
同じ職場に戻ると、昔はこんなにできたのに、
今はこんなこともできないのっていう目も絶対ある。
その一方で、話しやすい人はいるので……
東藤:
人間関係をゼロから構築っていう難しさはない。
赤崎さん:
異動はストレスもあるんだけど、苦労は少ないかもしれない。
東藤:
気分は完全に変わりますもんね。
赤崎さん:
転職しちゃうとわかりませんが、
同じ会社の中だったらある程度環境は引き継がれていますから。
産業医も同じですし。
部署が変われば、これから新しいアウトプットを見せればいい。
そういうところはいい点かもしれません。

「やらなきゃいけない」をやめよう

東藤:
さっき、達成感を積み重ねていくのが大事だっていう話を
されていましたけど、休職があけて、
いつぐらいから積み上げることを意識して実行されたのかなって。
赤崎さん:
それはもう、休職期間中から意識していたことだったので、
復職してからも、とにかくそればっかり考えていました。
まず「出勤できたこと」が大きな達成感でしたね。
そうすると、まず朝一番で喜ぶことができる。
あとは、自分の状態によって、できることできないことの区別をし、
できることはきちんとやること。

そして、「やらなきゃいけない」と考えるのをやめました。
「出来たらやろう、出来たらいいな」。
その考え方の切り替えは、休んでいるときからずっと心がけていましたね。
「これをしなきゃ」とかっていうのは、
よく考えたらしなくていいことばっかりなんです。
だけど、みんなたぶん「しなきゃ」って思ってる。
これはうつ病の仲間とやり取りの中で学んだんですけどね。
「“やらなきゃ”はダメ」って。あと、「がんばろう」もダメ。
がんばらないでもできるって。
東藤:
自分を責める方向になるという事ですよね。
なんとかしなきゃいけない。できなかったら自分が悪いって。
赤崎さん:
不思議なのが、人のことだと簡単に
「それは違うよ、焦って必死にならなくていいよ」って言えるんですけど、
自分では考え方の切り替えが難しいんですよね。
東藤:
ぼく、多くの友人からうつ病の相談とか受けていて、
こうやって治った人がいるよって伝えていたんですよ。
でも、「自分のうつ病を治す」っていう意識を
したことがなかったことに気づきました。
なんで今まで思いつかなかったんだろうって。
赤崎さん:
それも多分、症状の一つなんですよ。その気にならないっていう。
「元気になろう」と思うのはいいんだけど、
「元気にならなきゃ」とは思わなくていい。
東藤:
治さなきゃじゃなくて、自然と「治ろう」と。
赤崎さん:
治したいなって思った時が、治りどき。
それは本とかフォーラムとかで何回も言われていることで、
「いつかは絶対に良くなるから」と信じることですよね。
東藤:
って、言われるのに、みんなそうできないんですよね。ぼくも含めて。
赤崎さん:
だから、成功体験を聞いておくことはすごく大事なことだと思います。
この連載もすごくいい企画だと思って。
「こんなに大変な思いをした人でも戻れたんだ。
じゃあ自分にもできるかもしれないな」
って思ってもらうことはとてもいいことだと思います。

私も、戻りましたもん。3年かけて、元の状態の7割8割まで戻って。
7~8割の自分を許せるようになって。ちゃんと会社からも認められて。

職場に1人味方を

東藤:
「これから復職します」っていう人がいるとしたら、
どんなアドバイスをします?
赤崎さん:
そうですね。味方をね、作ったほうがいいと思います。職場に。
私はお酒が好きで、飲み友達も結構いたんです。
当時は残業をしてると、部署で「飲みに行こうぜ」っていう
人間関係が結構ありました。
同期も多い時代でしたし、二人で飲みに行けるような先輩も同僚も、
いっぱいいたんですね。
その中で、自分のことを話せる人、
直接仕事では関係ないんだけど、同じプロジェクトでそばにいる、
という立場の人のところに、逃げ場を作りました。
あとはランチをする同性の仲間の存在も大きかったですね。
東藤:
そうですよね。
職場に誰か理解者がいてくれればよかったなぁとぼくも思います。
赤崎さん:
原因がどこにあっても、職場に戻るんだったら、
そこに味方がいないとしんどいですよ。
日本人ってなかなかNOと言えないじゃないですか。
だから、できません、今やばいんです、と言えば
理解してくれる誰かがいるといいですね。
その人に言えれば、周囲に私の状況を伝えてくれるかどうかは別にして、
よっぽどダメな時は何か助け舟出してくれるだろうっていう味方。
それは、環境が新しくなっちゃうとちょっと難しいかもしれません。
東藤:
転職とかすると、なかなか難しいですよね。
赤崎さん:
ただ、環境が新しくなっちゃえば、
それ以前の自分と比較されないのは、いいかな、と思います。
東藤:
ぼくの罹患原因は過重労働だったので、
自分の仕事自体が嫌になってるんですよ。
だから、それがリセットされて大変だけど、
新しいインプットとアウトプットがあるっていうのはいいかな。
環境が変わってよい面もあると思いますよ。
赤崎さん:
それもある意味成功体験ですね。
ひとつひとつ学んで、できるようになっていくっていう。
はじめはできなくても当たり前だし。
東藤:
そうですね。
赤崎さん:
休職期間が長いのであれば、
何か新しいことをやってみるのはいいかもしれません。
机に向かうことが好きだったら、語学でも、簿記でも、
漢字の勉強とかでも。
試験を受けて「三級受かった!」とか思うと、
すごい効果がありそうです。
もしかしたら、そういう達成感って
一番の薬になるかもしれない。自信にもなりますし。
東藤:
ぼくも今ジムに通っていて、走る距離が伸びただけでも違った。
5分ずつ日に日に伸ばしたんですが。
赤崎さん:
でもそれも、「伸ばさなきゃ!」はダメですよ(笑)。
東藤:
大丈夫です(笑)。
「30分走れればいいや」「今はこれ以上求めない」と思って
のんびりやっています。歩いている日の方が多いですし。
筋トレも、普通は重量を増やしていきますよね。
でも、上限は何キロって決めて、ストップしています。
赤崎さん:
ゆっくりで、小さくていいんです。
「これは待つ」、っていうのもありますよね。
東藤:
待ったら待ったで、待つという判断が出来た。
赤崎さん:
そうそう。そこに自分で気づいて、丸をつけられれば。
東藤:
丸を積み上げる。
なにかできた自分をほめてあげる、という意識を、
ぼく自身忘れないようにしていきたいなと思います。

プロフィール

東藤泰宏(とうどう・やすひろ)
1981年生まれ。
IT業界で働くうち、過労のためにうつ病となる。
1年半のうつ病ニート時代を経て「ゆううつ部」(ブログ)を開設。
2011年にスカイライト社主催の「起業チャレンジ2011」で最優秀賞を獲得。
その賞金300万円で起業。仲間を集め、2012年1月にU2plusを公開。
新たな資金調達にも成功したが、まだ絶賛うつ病中。

「みんなでうつの予防&回復をする認知行動療法サイト」U2plus
ゆううつブログ
うつペディア - みんなで作るうつ情報wiki辞典
・ とうどうTwitterアカウント @toudou_U2plus
・ イラストレーター:ヨシムラマリ Twitter @coromegane
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