第一夜
『ミス・マープルと13の謎』
アガサ・クリスティ



長風呂には要注意! 
おすすめの高見沢版でじっくり読むべし


 ミステリが好きで、ミス・マープルの名前を知らないひとはいないでしょう。
 背が高く、ほっそりしていて、ふわふわの美しい白髪とピンクのほっぺたをしていて、
生涯セント・メアリー・ミード村からほとんど出たことがない(従って世間知らずとみな
されている)みるからに育ちのよさそうな、上流階級の老嬢……でありながら、ものごと
にまことに適切で辛辣な意見を吐く……またそれがいつもぴったりあたっているから嫌ん
なっちゃう……というミス・マープルのモデルはクリスティ自身のお祖母さま? なのだ
そうです。 
 そのミス・マープルが、村の上流階級が集まる火曜日の会で一人ずつ、今までに自分が
出会った謎(ただしその答えを知っている謎ね)の話をする……そうして他のひとはみん
な降参したのに毎回ミス・マープルだけが! 正解を述べるという短編連作が『ミス・
マープルと13の謎』です。
 女性らしいきめ細かな謎(服とか女中とか色とかね必ずそのかたは村のだれそれ
さんとよく似ている……だからその真相はこうでしょうよという辛辣で的確な推理……。
短編にもかかわらず、凝ったトリックを使ったものも多くて、クリスティがトリックの女
王、と呼ばれていたのもなるほど〜、です。
 しっかりした御飯なのに、さりげない、実にうまい文章で語られるので、お腹にもたれ
ないで、心地よく満足〜〜、という極上の一冊。
 私は高見沢順子の翻訳が一番好きです!






◆探偵プロファイル NO.1

ミス・マープル
本  名   ジェーン・マープル。
活動地域   自宅のある、ロンドン近郊のセント・メアリー・ミード村 
特  徴   イギリス生まれの老婦人。趣味は編み物と庭いじり。住人の観察。素人探偵として難事件を解決しまくる元気なおばあちゃん。


Ms.Marple


◆今回取り上げた本

『ミス・マープルと13の謎』
アガサ・クリスティ 著  高見沢順子 訳
創元推理文庫/クリスティ短編全集
1960年5月6日初版




赤木かん子(あかぎ・かんこ)

児童文学評論家。長野県松本市生まれ、千葉育ち。法政大学英文学科卒。1984年に、子どもの頃に読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリの紹介・書評などで活躍。

オフィシャルウェブサイト
http://www.akagikanko.jp/
 
第三回 2009年11月19日
第二回 2009年11月5日
第一回 2009年10月23日
イラスト提供:ふわふわ。り


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