担当編集者による、新刊“青春小説”紹介
by ポプラ文庫ピュアフル編集部
舞台は「紅桃寮」、館内には「開かずの間 四〇四号室」が存在していること、事件発生から解決までが「七日間」――三つの共通設定で四人の作家が競作するというユニークさが話題を呼んだミステリーアンソロジーが、待望の文庫化です。
アルバイト先でなぜか事件に巻き込まれてしまう健気な女子高生が主人公の本格ミステリー『天使が開けた密室』の谷原秋桜子。「このライトノベルがすごい! 2009」第1位に輝いたベストセラー『“文学少女”』シリーズの野村美月。図書館でおきる「日常の謎」を描いた『晴れた日には図書館へ行こう』の緑川聖司。そして、渋谷を舞台にホスト探偵団の活躍をスタイリッシュに描く人気シリーズ『インディゴの夜』の加藤実秋――実力派執筆陣による、四者四様の「寮の七日間」が繰り広げられます。
共通設定以外はアレンジ自由。美術高校で起きた幽霊騒動、桃香る女子寮で繰り広げられる少女たちの密やかな駆け引き、名門男子校にやってきた季節外れの入寮生、個性派ファミリーの夏休みの行方――と、作家の個性が光る粒ぞろいの短編が楽しめます!
(編集・小)
プチ不登校の女子高生ミミとテキトーな高校教師・永生。ふたりは、元いとこ同士。ミミは、ある事件をきっかけに、友だちをつくらず、学校ではひとりで過ごしているのですが、永生のアパートにはよく遊びに行きます。そんなある日、ミミのことが好きだという高校生が現れる。彼は永生が教える学校の生徒で、ロック部の創設を目論むのですが――。
ミミや永生をはじめ、ストーカー呼ばわりされる高校生やジョシカク=女子の総合格闘技家など、個性溢れる登場人物たちが絶妙のリアリティを持って描かれ、物語はテンポよく進んでいきます。書評家の藤田香織さんは「巧い、ニクイ、面白い!いや、シンプルに、すごく『いい』。思わずアンコールを叫びたくなるような、心に響く物語である」と推薦コメントをお寄せくださいました。身近に感じるけれども、ありきたりではない、そんな青春小説です。ぜひお読みいただけたらうれしいです。
(編集・近)
「男子と仲良くしすぎないこと」「みんなと同じものを好きでいること」「放課後の約束は絶対に断らないこと」……現役女子、そしてかつての女子にも、聞き覚えのあるお約束事ではないでしょうか。本書の主人公・木内日菜は、「偏差値五十の普通キャラ」の中学二年生。平凡ながら、学校でもテニス部でも、結構うまくやってきたはずでした。ところが、学校イチのルックスを持つ“王子様”藤崎翔音に話しかけられたことをきっかけに、平和な生活はあえなく崩壊し――。
女子特有のルールにがんじがらめになりつつも、悲惨な状況もどこか笑いに変えてサバイブしていく日菜。その姿には、世代は違えど、元気と勇気をもらえます。国民的人気女子グループAKB48チームKに所属し、読書家として知られる内田眞由美さんからも、「女子なら誰もが共感するはず! 女子の世界はとても厳しいけれどいつか必ず笑って話せる時がくる。日々戦う女子に読んで欲しい」(帯より)と、力強い共感のメッセージが届きました。すべての“戦う女子”へささげる一冊です。
(編集・小)
大事な探し物が必ず見つかるコンビニを舞台にした『コンビニたそがれ堂』、喫茶店のマスターがお客様から聞いた不思議な物語をそっと教えてくれる『カフェかもめ亭』。やわらかな筆致で、心温まる物語が織りなされる「風早の街」シリーズに、新たな作品がお目見えです。
タイトルを聞いて、古くからの村山作品ファンの中には、「聞き覚えのあるタイトルのような気が……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。本書『海馬亭通信』は二部構成。第一部では、行方不明になった父親を探して人間の町へ降りてきたやまんばの娘・由布が、ひょんなことからやっかいになることになった下宿屋「海馬亭」での日々が、故郷の姉に書き送る書簡形式で綴られていきますが、実はこの第一部、1994年に理論社より刊行された『やまんば娘、街へ行く~由布の海馬亭通信』を、17年ぶりに文庫化したもの。それに際して、心に葛藤を抱えてうまく歩けなくなった少年・景が、海馬亭で過ごす日々の顛末を描いた十七年後の物語が、新たに第二部として書き下ろされました。
時を越えて紡がれるふたつの物語が織り成す絶妙のハーモニーを、ぜひご堪能ください。
(編集・小)
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