担当編集者による、新刊“青春小説”紹介
by ポプラ文庫ピュアフル編集部

東湖市屈指の旧家に生まれた引っ込み思案な中学1年生・魔布結祈が、人間に仇なす邪悪な「闇の蔵人」と戦う使命に目覚めていく様を描いた青春エンターテイメント「光と闇の旅人」シリーズ。待望の第2弾『時空の彼方へ』では、前作で白い猫の姿で登場し結祈を導いたおゆきが、江戸の町娘として登場です。
先頃上梓された青春時代小説『火群のごとく』で少年剣士たちの友情と葛藤とを清々しい筆致で描き、『本の雑誌』の2010年上半期ベスト1に輝くなど、時代小説のジャンルでも高く評価される著者が、初めて執筆した「時代もの」は、実は本作。
腕のよい仕立師としておゆきを育ててきた母親のおひさや、同じ長屋に暮らす人たちとの慎ましくも朗らかな日常から、飲み込まれてしまいそうなほど黒々とした闇夜の気配まで、名手が丹念に、鮮やかに描き出す江戸の市井の暮らしぶりや風景を、本作でもたっぷり堪能できます。もちろん、エンターテイメント性でも読ませます。おゆきの出生の秘密や闇の蔵人との因縁など、謎が謎を呼ぶ波乱の展開からも目が離せません!
(編集・根&小)
原稿を読みながら、手が震えてしまった作品でした。単行本から5年、待望の文庫化です。
「どや、ガンズ・アンド・ローゼズ、ええやろ?」少年ガクの熱意におしまくられて、4人のバンド特訓が始まります。中学2年のガクと幼なじみのリリイ、親友のマロ、それに、ギターがうまくてフライングVを持っているという噂の問題児、かける。ケンカや練習を経て、4人が次第に仲間になっていくにつれ、読み手の気持ちも引き込まれていきます。主役の二人の淡い初恋のこそばゆさには、身悶えせずにはいられません。14歳の世界はこんなに日々が新鮮で、こんなにひとりひとりがきらめいていた。いくつになっても、いつ読み返しても、『ぎぶそん』は感動をくれるはず。
ファミコンに夢中だったり、そこらじゅうバンドブームだったり、昭和天皇の崩御の頃に十代だった人にはよりいっそう近しく感じていただけることと思います。
カバーイラストはゴツボ×リュウジさん。解説は作家の橋本紡さんです。
(編集・門)
陰陽師・安倍晴明が活躍する物語は小説や漫画、映画などで数々描かれていますが、この「風の陰陽師」は、晴明の少年時代の物語です。きつねの母から生まれ、父と死に別れた幼少期から、師について修行に入り、一人前の陰陽師となるまでを、全4巻の長編で描きます。
幼くけなげながらも底知れない力を秘めた主人公・晴明少年の姿を追いつつ、晴明の周囲の人物たち――智徳法師、蘆屋道満、加茂保憲などが、新解釈のうえでキャラクター性たっぷりに登場するのも見どころです。晴明ファンにはもちろん、そうでない方にも読み逃せない作品、ぜひシリーズを通してお楽しみください!
ところで、カバーに登場している赤い眉の謎めいた青年はいったい誰でしょうか。三田村版晴明伝の、非常に魅力的なオリジナル登場人物(人物?)です。何卒ご贔屓に、お願い申し上げます。
(編集・門)
ある時、センコーがアタシらを見てこう言った――「プラスとマイナスとゼロが歩いてら」。
これは、葉崎東高校で数学教師をつとめる清田先生の発言です。この皮肉めいた言葉は、本書のカバーにも登場する三人の主人公に対して投げかけられました。つまり、誰がプラスかマイナスかはともかく、不運につきまとわれる美しいお嬢様テンコ、義理人情に厚い不良娘で、自分がプラスだと信じて疑わないユーリ、〝歩く全国平均値〟の異名をもつミサキ、という超凸凹な女子高生トリオのことを指しています。
この、まったくタイプの違う愛すべき三人娘が、毎度厄介な事件に巻き込まれ、町中を思いっきりかき乱してくれるのが本書の魅力のひとつ。でも、この物語のさらなる魅力とは、全編にわたって三人の奇妙な友情を描いたところにもあります。とくに文庫版だけの書き下ろし「卒業旅行」は、その魅力をふんだんに備えた胸きゅんな1編。言いたいこと言いあって、いっしょに泣いて笑えあえる、こんな友だちがほしい(ほしかった?)、としみじみとさせる最終話となっています。ぜひ読んでみてください。
(編集・吉)
タイトルは「複数の異なるリズムが同時に演奏されること」を意味する音楽用語。音楽小説に定評のある「名プレーヤー」たちが独自のリズムを刻み、グルーブ感あふれるアンソロジーに仕上がりました。
青春バンド小説の金字塔『青春デンデケデケデケ』で直木賞受賞の芦原すなお、甘酸っぱさ満点のバンド小説『ぎぶそん』が人気の芥川賞作家・伊藤たかみ、ミュージシャンが主人公の作品ばかり集めたハートフル短編集『うたうひと』が好評の小路幸也、ガールズ・バンド小説『チューリップの誕生日』ですばる文学賞を受賞してデビューした楡井亜木子、先頃久々の音楽小説『西方乃魂』を上梓した芥川賞作家・花村萬月、青春音楽小説三部作『船に乗れ!』が本屋大賞にノミネートされ注目を集めた藤谷治――。6名の人気作家が、音楽をモチーフに、青春のきらめきや切なさ、苦みなどを封じ込めたオリジナル短編をご堪能ください。
すべての短編がオススメですが、『船に乗れ!』を読まれた方には、同作のスピンオフ短編「再会」が、しみじみと味わい深いと思います。
(編集・根)








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