STORY

心の空腹、温かく満たします。
『ハルさん』の著者が贈る、滋味いっぱいのやさしい物語。

京都の路地にたたずむ古びた町屋長屋。
ちょっと謎めいた小石原愛子先生が営む「男子限定」の料理教室では、
今日もさまざまなドラマが起こる――。
オクテな建築家の卵、腕利きのフランス人パティシエ、
性別不詳の大学生、強面の職人らが織りなす、おいしい連作短編集。
巻末には、作中に登場する料理の特製レシピも収録。

ページ数 / 286ページ
定価 / 本体1500円(税別)

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CHARACTERS & RECIPES

第一話「初恋料理教室」の一皿

智久
建築家の卵。気になる女性の「料理ができる男性って、素敵ですよね」という一言がきっかけで、料理教室に通い始める。不器用な恋の行方は如何に?

大根と鶏の炊いたん 生麩入り

材料(2人分)
  • 大根:1/2本
  • 生麩(よもぎ麩、粟麩、桜麩などお好みで):1本
  • 鶏手羽元:2本
  • 出汁(昆布):2・1/2カップ
  • 砂糖:適量
  • 酒:大さじ2
  • 生姜:1片
  • 醤油:大さじ1
作り方
  1. 大根は2cmの輪切りにして面取りし、片面に隠し包丁を入れる。生麩は食べやすい厚さに切る。
  2. 鍋に油(分量外)を熱して鶏手羽元を入れ、転がすようにして全体に焼き目をつける。
  3. 大根を入れ、出汁を注いで火にかける。灰汁を取りながら、大根がほんのり透きとおってきたら、砂糖、酒、スライスした生姜を入れる。
  4. 煮汁が沸騰したら、醤油を入れる。落としぶたをして中火で20~30分煮こむ。
  5. 煮汁が半分になったら生麩を加えて煮含める。生麩がふっくらとしてきたら、火を止めて味を染みこませる。
愛子先生の一言アドバイス
煮汁はぐつぐつと沸騰させないで、出汁が対流する程度の火加減で煮るんがコツです。

第二話「であいもん」の一皿

ヴィンセント
お菓子と女性をこよなく愛する腕利きパティシエ。独立を計画しており、自分のカフェの設計を智久に任せるが、思わぬ事件が持ち上がる。

マナガツオの西京焼き

材料(2人分)
  • マナガツオ(切り身):2切れ
  • 西京味噌:大さじ4
  • みりん:大さじ1
  • 酒:大さじ1
  • 塩:適量
作り方
  1. マナガツオの両面に塩を振り、30分以上置いてから、水気をキッチンペーパーなどでよく拭き取る。
  2. 西京味噌、みりん、酢を合わせる。よく練って味噌床を作り、保存容器に入れる
  3. マナガツオの両面に2を塗りつけるようにして、30分以上漬けこむ(時間がないときは、ビニール袋に入れてもみこんでもよい)。
  4. 味噌をこそげ落とし、皮の方から焼いていく。
愛子先生の一言アドバイス
みりんの代わりに、甘酒や蜂蜜を使うんもおすすめです。しっかりと味をつけたい場合には、味噌床に漬ける時間を長くしてくださいね。

第三話「ふたりの台所」の一皿

ミキ
フランス人形めいた装いで「男子限定」の料理教室に現れる。質問魔でちょっと毒舌な大学生。ミキが一緒に食卓を囲む相手とは……。

萩ご飯

材料(2人分)
  • 銀杏:10粒
  • 小豆:大さじ2
  • 米:2合
  • もち米:小さじ1
  • 出汁(昆布):カップ2程度
  • 醤油:小さじ2
  • 昆布:適量
作り方
  1. 銀杏はペンチなどで殻を割り、さっとゆでたあと薄皮を剥いて縦半分に切る。小豆はかために茹でておく。
  2. 炊飯器にといでおいた米ともち米、出汁、醤油を入れて2合の水量になるよう調整し、1と昆布を加えて炊く。
愛子先生の一言アドバイス
少し水分が多めでもふっくら仕上がります。炊きあがったあと、そのまましっかり蒸らすことでおいしさが増しますよ。

第二話「であいもん」の一皿

佐伯
無骨な彫金職人。息子ふたりが独立した直後、長らく連れ添った妻から、「料理教室に通ってください」と切り出される。果たして真意は何なのか。

ぐじ(甘鯛)のかぶら蒸し

材料(2人分)
  • 聖護院かぶら:1/4本
  • 甘鯛(切り身):2切れ
  • 卵白:1/4個
  • 塩:少々
  • 野菜(しめじ、百合根、人参などお好みで):適量
  • おろしわさび、みつば:適量
くずあん
  • 出汁(昆布):1カップ
  • 酒:大さじ1
  • みりん:大さじ1
  • 醤油:小さじ1
  • 吉野本葛:大さじ1(同量の水で溶く)
作り方
  1. かぶらの皮を厚めに剥いてからすりおろし、ザルにあげて軽く水気を切る。甘鯛は塩を振って20分程置き、熱湯をかける。表面が白くなったら冷水に入れ、灰汁を落として水気を切る。
  2. 卵白に塩を加えて角が立つくらいにしっかりと泡立て、かぶらを加えてさっくりと混ぜる。
  3. 器に甘鯛、野菜を盛り付け、その上から2を丸くかぶせて、中火で10分~15分程蒸す。
  4. 出汁に酒、みりん、醤油を加え、葛を入れてとろみが出るまで火にかけて、くずあんを作る。
  5. 3が蒸しあがったら、4をかけて、おろしわさびや三つ葉を載せる。
愛子先生の一言アドバイス
葛がない場合は、水溶き片栗粉で作ることもできます。

AUTHOR PROFILE

藤野恵美(ふじの・めぐみ)
1978年大阪府生まれ、在住。2004年に『ねこまた妖怪伝』(岩崎書店)で第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞し、デビュー。著書に、父と娘の絆を温かく描き出して話題を呼んだミステリー『ハルさん』(創元推理文庫)ほか、『ぼくの嘘』『わたしの恋人』(ともに講談社)、「お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿」シリーズ(講談社青い鳥文庫)、「怪盗ファントム&ダークネス」シリーズ(ポプラ社)など多数。