【Story】
ある日の午後、コロンビア・クンディナマルカ県の郊外。5人の武装集団が平穏なバルデス家に車で乗りつけ、襲撃した。家族全員をしばりあげ、1500万ペソという法外な金額を要求する犯人グループ。彼らは母であるオフェリアの首に何かを取り付け、テープを残して立ち去る。テープには、オフェリアの首に付けたのが爆弾で、警察に通報したり身代金を支払わなかったりした場合は、遠隔操作で爆破するという予告が残されていた…。
絶賛公開中!


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【キャスト&スタッフ】
脚本・監督・撮影:スピロス・スタソロプロス
出演:メリダ・ウルキーア、ダニエル・パエス、アルベルト・ソルノサほか
ある日の午後、コロンビア・クンディナマルカ県の郊外。5人の武装集団が平穏なバルデス家に車で乗りつけ、襲撃した。家族全員をしばりあげ、1500万ペソという法外な金額を要求する犯人グループ。彼らは母であるオフェリアの首に何かを取り付け、テープを残して立ち去る。テープには、オフェリアの首に付けたのが爆弾で、警察に通報したり身代金を支払わなかったりした場合は、遠隔操作で爆破するという予告が残されていた…。
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旅に出るのが好きな私。色んな国に想いを馳せるが、行く機会がないだろうなと思う国がいくつかある。そのうちの一つがコロンビアだ。世界で最も誘拐と殺人が多い国だと言う。ティアラデントロという世界文化遺産を見たいのだが、やはり身の危険を犯してまでの旅には出られない。そしてこの映画を見てその気持ちは確証へと変わった。
PVC-1は実話に基づいた映画である。映画というよりはドキュメンタリーに近い。平穏な一家が突如、武装集団に襲われる。そして多額の身代金を要求したあげく、一家の母親の首に遠隔操作できる時限爆弾を巻きつけて去って行った。時限爆弾というと重圧な造りで物々しいイメージがあるのだが、映画に出てくる時限爆弾は白いプラスチックでできた物。首に巻きつけた姿は救護用の浮き輪のようにも見えた。それが時限爆弾を簡単に作れてしまうことを想像させ、恐ろしさを倍増させた。
85分間、観客はスクリーンに映し出される時間とまったく同じ時間を共有することになる。何故ならこの映画、85分をワンカットで撮っているのだ。映像の仕事に関わる私としては、物語以上に恐ろしい。84分間、ミスなく撮れていたのに最後の最後で自分がNGを出してしまったら? 考えただけで怖い。役者のミスはもちろんのこと、映像を作る時、スタッフの影の映りこみすら許されない。幾度ものリハーサルを繰り返し、緻密に計算された撮影。根気と忍耐を要する作業だったはずだ。監督は私と同じ年齢。彼がハンディを抱えて撮影をしたらしい。ハンディを持ったことはないけれど撮影で体格の良いカメラマンでさえも、その重さに顔を歪めるほどだ。それを85分も抱え続けた監督。聞くところによると、彼はまず体力作りから始めたそうだ。85分という時間に耐えうることのできる屈強な肉体を得るために。その監督の努力がスタッフの信頼関係にも繋がったのだろうと思う。そしてその張りつめた撮影の緊張感、現場の空気が明らかに映画により良い効果をもたらしていた。
自分の大切な家族が目の前で命の危機にさらされている。自分の力ではどうにも出来ないもどかしさ、苛立ち、そして絶望。ささいなことにイライラする平和な時間を過ごしている国の地球の裏側では、卑劣な暴力が横行している。この映画を見終わった後、私はげっそりとした気分になった。悪い映画だからではない。描かれた世界に救いがなかったからだ。それこそが現実ということを見せつけられたからだ。おこがましいけれど自分に出来ることは何があるのだろうと考えさせられる映画だった。

1978年、東京都生まれ。1995年、フジテレビ系ドラマ『じんべえ』で女優デビュー。以後、映画、ドラマ、CM、舞台等で幅広く活躍中。
著作に『色鉛筆専門店』(アクセスパブリッシング)、『しょーとほーぷ』(マガジンハウス)がある。
公式サイト:
http://www.flamme.co.jp/MayukoNishiyama/flm_profmn.html