【Story】
日本中で人気を集めるキャット・アイドル、将軍(声・加藤精三)の息子・大将(声・古谷徹)は、自分をアイドルに育てようとする父のスパルタ教育に嫌気がさし、家を飛び出すのだが……。
11月29日(土)より、シネセゾン渋谷ほかにて限定モーニング&レイトショー


【キャスト&スタッフ】
原作:そにしけんじ
脚本・監督:河崎実
出演:加藤和樹、紗綾、長澤奈央、黒沢年雄、古谷徹、加藤精三ほか
日本中で人気を集めるキャット・アイドル、将軍(声・加藤精三)の息子・大将(声・古谷徹)は、自分をアイドルに育てようとする父のスパルタ教育に嫌気がさし、家を飛び出すのだが……。
11月29日(土)より、シネセゾン渋谷ほかにて限定モーニング&レイトショー

私のPCのお気に入りにはラーメンに関する情報サイトが多数マークされている。今年の夏はつけ麺にとりつかれていたので、美味しい店を調べては自転車を走らせた。ちなみに祖師谷大蔵にある「こましょう」が大好きです。塩つけ麺が美味しい店は稀有であります。と、このまま書き続けるとラーメンのコラムになってしまうので本来の主旨である映画の話をいたしましょう。
「今日、試写会に行ってきた」「何の?」「猫ラーメン大将」「……それって邦画?」
試写会後の友人との会話。絶対に洋画ではないでしょう。ラーメンは間違いなく日本の素晴らしい食文化の一つだと思うのです。中国からの伝来という歴史はあるにしろ、ラーメンは日本独自の食文化です。この映画は、我ら日本人が愛するラーメンを猫が作るという壮大な物語です。
今までたくさんの映画を観てきました。変わった映画も数知れず。しかしこの映画はそのどれよりも奇怪だと思いました。私は今まで人間もしくは動物としかお芝居をしたことがないのですが、人形を相手に芝居……あれ? 思い返してみたらありました。幼い頃、ぬいぐるみを役に見立ててキャンディ・キャンディごっこをした覚えがあります。私がイライザでキャンディに見立てたぬいぐるみをいじめまくるという幼いゆえに残酷な遊びをしていました。本当にこのぬいぐるみが動いてしゃべってくれたらどんなに楽しいだろう。無理矢理こじつけるようですが、そんないたいけな少女の夢をこの映画は叶えてくれたのです!
物語は猫の親子の確執が主軸なのですが、まあもちろん重たい話ではありません。キャット・アイドルとして大人気の父親に反発する息子。二人(二匹?)の声を担当するのはかつての名作アニメ『巨人の星』で星一徹・飛雄馬親子を担当した加藤精三さん、古谷徹さんであります。古谷さんといえば、私は世代的にどうしても『機動戦士ガンダム』の主人公・アムロの声優さんとして認識してしまうのですが、この二人の掛け合いが何とも下らなくて面白い。下らないことを真剣にやるということは、私は人生で一番面白いことだと思っています。猫相手に実に渋い芝居をする黒沢年雄さんは面白いを超越して色っぽく見えました。ベテランの俳優の力を見せつけられた瞬間。
私が行った試写会の日、観る前に監督からご挨拶がありました。その時の言葉がすごく印象的です。
「上映時間は80分です。えー、観て忘れて下さい」
自分の映画にこんなこと言ってしまう人がいるんだ……。でも、もし監督が「猫を通じて親子の絆の大切さを感じてもらえたら」なんて言っていたら、正直しんどい80分だったと思います。私は気楽な気持ちでだらんとシートに座り、映画が始まるのを待つ。スクリーンの中で動く人形、それを相手に真剣に芝居をする役者達。上映中、私はもちろんのこと観ている人が遠慮なく声を出して笑っていた幸せな80分でした。
試写会が終わって、ぐうぐうと鳴り続けるお腹をおさえながら私はラーメン屋に向かいました。なんてことないシンプルな醤油ラーメンが体中に染み渡り、気がつく。監督は忘れて下さいと言っていたけれど、どんな映画でも人の心には必ず影響を及ぼすのだなと。

1978年、東京都生まれ。1995年、フジテレビ系ドラマ『じんべえ』で女優デビュー。以後、映画、ドラマ、CM、舞台等で幅広く活躍中。
著作に『色鉛筆専門店』(アクセスパブリッシング)、『しょーとほーぷ』(マガジンハウス)がある。
公式サイト:
http://www.flamme.co.jp/MayukoNishiyama/flm_profmn.html