【Story】
孤児のルーシー、エドワード、スーザン、ピーターの4人は、ウィリー・ウォ○カのチョコレート工場に閉じ込められる。ウォ○カの手から逃れるため、魔法の洋服ダンスに逃げ込むが、そこは白いアバズレ魔女が権力を握るナル○ア国だった……。


(C) 2007 Regency Entertainment (C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX
【スタッフ&キャスト】
監督:ジェイソン・フリードバーグ、
アーロン・セルツァー
出演:カル・ペン、アダム・キャンベル、
ジェニファー・クーリッジほか
6月2日(土)より、シネマート六本木ほか
順次ロードショー
孤児のルーシー、エドワード、スーザン、ピーターの4人は、ウィリー・ウォ○カのチョコレート工場に閉じ込められる。ウォ○カの手から逃れるため、魔法の洋服ダンスに逃げ込むが、そこは白いアバズレ魔女が権力を握るナル○ア国だった……。

パロディというのは元の作品を風刺、批判するという意味合いがあるが、観客側はそんな風に見るとは限らない。この『鉄板英雄伝説』は風刺、批判なんてお堅い言葉からはかけ離れている。元の作品に愛情さえ感じてしまうぐらいで、とにかく笑いっぱなしだった。何かを伝えたいとか難しいことはお構いなしで、観客を笑わせることに作り手は命をかけている。とても幸せな映画なのである。
まずタイトルがやばい。原題は『EPIC MOVIE』。「EPIC」というのは、叙情詩、壮大、英雄などの意味がある。納得。でも……あれ? 邦題の鉄板ってどこから来たんだ? 邦題というのは宣伝会議で決まるらしい。そこで「鉄板ってどうですか?」「いいね!」という会話が生まれた瞬間を想像すると、それだけで楽しくなってしまう。強そうだけど、ちょっとマヌケ。何でも焼いちゃう雰囲気が、まさにこの映画に合っている。ちなみに余談だが、名作『Mr.BOO』シリーズでも、私が一番好きな作品は『Mr.BOO!鉄板焼』なのであります。
映画は一応、4人の孤児の冒険物語である。“一応”と言うのは、冒険の要素がまったく重要でないからだ。冒険物語というのは、本来さまざまな困難を乗り越えて主人公が成長していくものである。しかし、この4人の孤児(しかもだいぶ大人)は、物語が終わるまでバカの積み重ねである。しかし、私は間違いなく彼らは英雄だと思った。何故なら彼らは人間のくせに絶対に死なない。ぶっ飛ばされてもダメージがない。この夏に復活する『ダイ・ハード』のジョン・マックレーンよりも無敵なのだ。
パロディ映画はわかりやすくないといけないと思う。この映画は誰でもすぐに「ああ、あの映画のパロディね」とわかるのが嬉しい。私は、案外大作を見ていなかったりするのだけど、この映画に登場する作品で見逃していたのは『ナルニア国物語』ぐらいだった。元の作品を見ていないからと言って笑えないわけではないが、『ナルニア~』を見ていた方が、楽しさは倍増だったはずだ。ただ、映画だけではなく、たぶん洋楽アーティストのPVとかゴシップなども笑いに組み込まれていて、これは日本人には正直わかりづらい。洋画を見ていてしんとしている中、外国人だけが爆笑してる瞬間。少しだけ羨ましかったりする。
この映画の監督・脚本は『最終絶叫計画』と同じコンビである。『スパイ・ハード』を作ったのも彼ら。コメディ専門といった感じだが、他のスタッフに関しては結構な大作を手がけた人が名を連ねている。もちろん、パロディに使われた元の映画のスタッフは入っていないみたいだけど。スタッフは試行錯誤して、低予算でこの作品を作り上げたらしいが、観客からすれば随分とお金がかかっているように見える。いや、実際にかかっている。スタッフの工夫によるものもあるかもしれないが、億単位のお金はかかっているのに、それがハリウッドでは“低予算”なのだから……。日本と比べたところでマーケットの大きさが違うから無意味なのだけれど、やはり素晴らしい文化だと思う。ポップコーン片手に大笑い。意味を持たずに、ただ人を笑わせる。『鉄板英雄伝説』は、そんな幸せな映画なのである。
