「西萩で怪談のイベントがあるそうやな」
「ほう、イベントみたいな洒落たもん、萩ノ茶屋でやんのんかいな」
「誰が大阪の西萩の話してんねん。東京の西荻窪や」
「おえ。萩と荻は字が違うで。西荻や」
「ほんまや。えらい違いや」
「それはええとして、お前、行くんか?」
「お前もどうや。怪談好き同士」
「まあ、ええけど、どないしていくんや。新幹線やんな」
「そや。東京まで行くやろ。ほんで、中央線に乗り換えるんや。会場は駅前にあるこけし屋いうとこらしいで」
「まあ、それぐらいやったら行けんこともないな。四時間もあったら着けるやろ」
ええ加減な参加もあったもので、要予約のイベントということも知らずに、この二人、イベント当日に新幹線に飛び乗りました。道中もわいわいアホなことを言いながらですので、あっという間に東京に着きます。駅構内でも案内板を見ながら何とか中央線快速に乗り換えます。
「なあ、三十分くらいで着くはずやんな」
「そのはずや」
「せやけど、一時間前に着いてブラブラするつもりやったのにもう開始時刻やんか」
「うそ? さっき乗ったばっかりやで」
「せやけど、時計はそないなっとる」
「けど、まだどこの駅にも着いてへんで」
「そういや、なんで俺らだけやねん」
「乗るときは、ようけおったやんな」
「知らん。覚えてへん。それに、見てみ、外の景色もようわからん」
「何やこれ、お前の生命線の上を走っとんのちゃうか」
「ほんまや。俺がおんのは、俺の掌やんか」
「あかん。お前の生命線尽きるで」
「うわっ、これ……」



