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――政治家という肩書きがなくとも、幅広く重厚な活動を行なっている人たちがたくさんいらっしゃいます。山本さんも、そうした活動を続けていこうという希望はありますか。
山本 もちろんあります。もしかしたら、今の日本や社会の現状を憂う気分というのは、政治家のとき以上にあるかもしれませんね。とくに私が痛感しているのは、これまで政治の現場で見てきた福祉に対する政策というものが実に皮相だった、ということなんです。国会というところは、世の中が見えていそうで見えていない。刑務所というのは、世の中が見えなさそうで、実はよく見えているところなんです(笑)。ですから福祉の現場の話などは、立法や行政の場に関わっている人たちにどんどん伝えていこうと思っています。
――これからの山本さんの「未来予想図」を教えてください。
山本 現在の制度では、障害のある受刑者が刑期を終えて出所したときに、何のケアもなくポンと放り出されてしまうのが現実なんです。そうではなくて、出所する前に社会復帰に向けた訓練をしてもらうための制度や施設、「障害を抱えた受刑者の出所後のシェルター」と私は呼んでいるんですが、そうしたものを作りたいと考えています。それが当面の目標ですね。それと同時に、来年監獄法の改正があるんですが、それに向かっていろんな意見を発信できればと思っています。
――100年近く野ざらしにされてきた「悪名高き法律」ですね。
山本 法律というのは、だいたい根っこのところは、政治家や利権団体の利害関係で作られたり改正されたりするものですから、監獄法にだれも手をつけてこなかったというのは、立法機関としての政治の怠慢ではありますが、ある意味で当然のことだったと思いますね。刑務所改革をしたから票が増えるとはおそらく誰も思っていないでしょうし。けれど、実はそうではなくて、現在の再犯率が五割を超えていることを考えれば、今後の社会へのリスクを軽減する、将来の行政コストを軽減するという意味では、刑務所改革は国家的な課題だと思います。犯罪を犯した人というのは、貧困だとか劣悪な家庭環境だとか、いろんな悪条件がたまたま重なることで、不幸にも犯罪へと結びついてしまう場合が数多くあります。もちろん、そうした犯罪に巻き込まれる被害者はさらに不幸なわけですが。新たな加害者や被害者を生み出してしまうような現状を変えるため、放置されてきた法律をそろそろ見直そうという気運がようやくもりあがってきたんですね。それに対して私のような者が意見を申し上げるのはおこがましいと思いつつも、塀の中で実際に体験したことをお話ししたり、その体験を通して提案したいこともいろいろありますので。
――では最後に、『獄窓記』をこれからどんな方に読んでもらいたいですか?
山本 できれば日本全国あらゆる方に読んでもらいたいですね(笑)。まあ、ひとつは行刑関係者といいますか、刑務官の方たちだとか保護司の方たちに、「囚人の立場から見えた現実」というものを、笑いながらでも読んでもらえれば。それと、あまり現場がわかっていらっしゃらない法務省の中枢にいる方たちにも読んでもらいたいですね。さらには福祉関係者。でも、いちばん読んでもらいたいのは、現職の議員や政治家をめざしている方たちですね。僕みたいな失敗をしないように(笑)。
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